火入れの実験: 蒸し燗、湯煎燗

Q: 「何の写真だろうか?」A: 「300ml瓶を上から撮影したものです。」

左側は「蒸し燗」、右側は「湯煎燗」と呼ばれる方法で火入れ(お酒の殺菌)をしたお酒になります。前者は蒸気で温める方式、後者はお湯で温める方式です。

私林が個人的に大好きな銘柄を販売する、「白隠正宗」の静岡県の高嶋酒造株式会社様や「十九」の長野県信州新町の尾澤酒造場様で採用されている「蒸し燗」がどれほどのものなのか気になり、実験をしました。

私個人の官能評価になってしまうのですが、間違いなく「蒸し燗」はうまいです。大変に驚きました。比較テストであれば、ブラインドでもわかりました。

同種類の普通酒生原酒を火入れしたのですが、アルコール感が落ち着き感じづらく、酒の美味しい香りが立って、文句なしに旨いなーと感じるのは間違いなく「蒸し燗」でした。「湯煎燗」も単体で飲めば悪くないのですが、比較テストをするとそういう感想を持つ他ありません。また、パストライザーや失敗した「湯煎燗」で酒につきやすいとされる「焦げ臭」——同酒内での極端な温度差・ムラが生じると出やすいと聞いたことがあります—もありませんでした。

なぜそうなったのかという推測は難しいですが、自分の中で仮説は立てております。

普通「湯煎燗」で火入れをする際には、瓶が割れることがないように、蓋なしの水を張った容器に瓶を並べ、水温を80度近くにまで上げていきます。すると水を10度から80度に沸かすまでに十数分。水温80度達成後、瓶内の品温が65度に達するまで数分と、1パッチ最短でも20分強かかります。(これでも非常に早いんですよー!!)

一方で、蒸し燗は火入れ開始時からかなりの高温(80度以上)ですが、水とは違い蒸気ですから瓶は割れづらく、かつ蓋有りの蒸し燗機の高温多湿な密閉環境で、瓶を360度全体から効率良く温めます。初挑戦の今回の場合でも、わずか14分でした。温度ムラもなく、非常に準備も簡単で、水道代も安く、味も良くて大変に驚きました。

火入れ後の急冷冷却方法は、両者同一で冷凍庫に放り込む方式です。となると、仮説として、短時間で火入れを終わらせたということがもっともこの差を生んだのでは無いかと考えます。おそらく湯煎でも同レベルの速さで火入れを完了させれば、同じレベルの味になるかもしれませんが、慣れた「湯煎燗」で20分強。初めての「蒸し燗」で14分ですから、なかなか難しい気がします。

 ただ、この仮説が真とすれば、温度管理を徹底した、加熱ムラがでないようにした上で、電子レンジを用いるのがもっとも優れた火入れ手法になるんだよなー。それってどうなんでしょう。

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