「こうじを改良 販売に注力」

甘酒が鑑評会で2回目最高賞

 岩波酒造(松本市)が製造販売する「造り酒屋の甘酒」が、2021年12月に県などが開いた第4回甘酒鑑評会で最高賞の知事賞を
受賞した。原料のこうじを改良し、18年に新しい味の甘酒を開発。それ以来、知事賞の受賞は第2回に続き2回目と評価を高めている。生産量も約2割増。主力は日本酒だが、子どもから大人まで楽しめる甘酒を成長分野と捉えて販売に力を入れている。

 甘酒は40年ほど前から販売しているが、4年ほど前転機があった。都内の卸売業者と日本酒の取引が始まって県外への販路が広がったことで、目指さじわいを改めて見つめ直した。「うま味とキレが調和した酒」をテーマに、味わいの基礎となるこうじの改良を決めた。

 こうじは、ふかしたコメにパウダー状のこうじ菌をまぶして2日間かけてつくる。杜氏の佐田直久さん(56)は「こうじができる過程で菌の営みを邪魔しないことが重要」とし、部屋の温度と湿度の管理、かき混ぜるタイミングをとことん研究。こうじは10月から翌年3月にかけて複数回つくっていて「良いこうじになるよう愛情をかけている」と話す。

 甘酒にも同じこうじを使ったところ、専務の小岩井昌門さん(34)は「甘みが十分に感じられた後に、その甘みがスッと消える味わいに仕上がった」とする。18年3月に新しい甘酒の販売を開始。同年8月、品質を保持するために業務用の冷蔵庫を導入し、季節限定で販売していた甘酒の通年販売を始めた。

 甘酒は県内のスーパーや酒販店、酒蔵近くのコンビニエンスストアなどで販売。松本市内の飲食店でも甘酒を使ったメニューが提供されている。甘酒が売上高に占める割合は1割に満たないが、新型コロナウィルスの影響で飲食店の消費が減った日本酒と比べ、甘酒の売り上げは安定しているという。

岩波酒造合資会社

1872(明治5)年に造り酒屋として創業。日本酒の代表的な銘柄は「岩波」で、普通酒から吟醸酒までを展開する。2003年に大吟醸、吟醸酒、純米吟醸のみの「鏡花水月」を販売した。甘酒は、酒蔵の店頭と同社オンラインショップでも販売。従業員は7人。2021年9月期の売上高は1億2千万

引用: 『信濃毎日新聞』 (2022年3月3日号 朝刊) 八頁